こんにちは。結婚して夫の苗字を名乗っている、しょうこです。
現在の日本では、「結婚したら女性が苗字を変えるのは当たり前」ですね。
苗字を変えることに対して、全く違和感や問題が無い場合は、現在の法律婚のルールに従うのが順当だと思います。
しかし、「苗字を変えると困る……」という人もいますよね。
私も夫の苗字に変えましたが、最初は変えたくないなと思っていました。
そこで今回は、結婚しても苗字を変えたくない人が確認すべきことについてお話しします。
- 結婚しても苗字を変えたくないけど、何か方法はあるの?
- 苗字を変えない選択をした場合のデメリットは?
結婚しても苗字を変えたくない人が確認すべきこと
結婚しても苗字を変えたくない人が確認すべきことは、次のとおりです。
- 苗字を変えるデメリット
- 苗字を変えずに済む方法と、その方法を選ぶデメリット
苗字を変えるデメリット
まずは、実際に私が苗字を変えて感じたデメリットを紹介します。
苗字を変える手間・費用がかかる
1つ目は、「苗字を変える手間・費用がかかる」です。
苗字を変えたときにする作業って、とっても多いんです。
私はスキマ時間に少しずつ、1ヶ月程度かけて、全ての変更手続きを終わらせました。
平日に手続きしなければいけないものについては、わざわざ有給休暇を取得して手続きしに行きました。
変更手続きの手数料がかかる場合もあります。
特にパスポートは6,000円もかかりますから、たまったもんじゃありません。
変更漏れがある場合はもちろん、順番・タイミングが合わないだけでも、大きな不具合が起こる可能性もあります。

私は銀行口座の苗字変更手続きタイミングの関係で、危うく給料が振込まれなくなるところでした。
また、離婚することになれば、また苗字を変えて、同じ手続きをする必要があります。
苗字を変える側の手間・費用は、相当な負担です。
ビジネスでの不具合がある
2つ目は、「ビジネスでの不具合がある」です。
ビジネスネームは本名(新姓)を名乗らなければいけない場合、ビジネスシーンでの不具合も、色々あります。
例えば、メールアドレスです。
私の旧姓が「田中」で「tanaka@×××.com」だったとします。
結婚して新姓が「鈴木」になったとすると、鈴木しょうこが「tanaka@×××.com」を使い続けることになります。
相手がメールを受け取ったときや、名刺に印字されたメールアドレスを見たときに、違和感が拭えないですし、覚えづらいです。
他にも、馴染みのお客様・ビジネスパートナーに会ったとき、わざわざ新姓を覚え直してもらうのも大変です。

私がいた会社では、ビジネスネームとして旧姓の利用を認められていたので、働いている間は旧姓を名乗り続けました。
ただ、ビジネスネームとして旧姓の利用を認められていた場合でも、スッキリはしませんでした。
出張時の飛行機の予約は新姓でとらなくてはいけませんが、会社を通じて飛行機の予約をとるための申請は、ビジネスネーム(旧姓)で行う必要がありました。
分かりにくくて、総務の担当者にわざわざ問い合わせをする等、飛行機の予約申請に手間がかかってしまいました。
旧姓を名乗るにしても、新姓を名乗るにしても、ビジネスにおける不具合は起きてしまいがちです。

経済成長やビジネスの効率化・改善を考える昨今において、コミュニケーションや事務手続きに不具合があるのはどうかと思います。
新姓側の家に対する意識が強くなる
3つ目は、「新姓側の家に対する意識が強くなる」です。
良くも悪くも、姓を変えることで、新姓側の家への帰属意識が強くなります。
新姓側の家と、仲良く、全く気遣うことなく、円満な関係を築くことができれば問題はありません。
ただ、新姓側の家の人々とうまく意思疎通ができない場合、「新姓側の家に対する意識が強くなる」ことはデメリットになります。
例えば、新姓家の人が「あなたは新姓家の娘・息子になったのだから、○○をしなさい。」と、しきたりを押し付けてくることもあります。
「姓を変えることで、新姓側の家への帰属意識が強くなる」とは言いましたが、「新姓側の家の人が、姓を変えた人に対して期待しすぎる」というのが問題かもしれませんね。

私や夫は、新姓家のしきたりに興味はありませんから、特に応じていません。
念のため、戸籍についてお話しします。
婚姻届を提出すると、パートナーとの新戸籍がつくられます。
だから、苗字を変えた人が新姓家の戸籍に入る(娘・息子になる)わけではありません。
日本人同士の婚姻届の場合には,婚姻により同じ氏になり,お二人の新戸籍が編製されます。氏に変更がなかったかたが筆頭者となります。
結婚したら戸籍はどうなるのですか。|国分寺市(2021年2月22日参照)
よく、結婚することを「入籍」といいますが、この表現は、男性の家に入る「家父長制度」の名残のようです。
家父長制度は1947年の民法改正により廃止されていますから、無理に家に対する意識を強く持つ必要は無いと思います。

パートナーと2人で、新しい家庭を築くイメージを持つと良いのではないでしょうか。
戦後、両性の本質的な平等と個人の尊厳を基調とする日本国憲法は、第 14条に男女平等、第24条に個人の尊重を基礎とした家族を明文化し、1947年(昭和22年)の民法改正によって、戸主権が否定され家制度は廃止されました。均等相続が認められたほか、妻の無能力の廃止、子に対する夫婦の共同親権など夫婦の同権が認められました。
家父長制(Patriarchy) | 柏市男女共同参画センター(2021年2月22日参照)
苗字を変えずに済む方法
苗字を変えるデメリットを確認したところで、苗字を変えずに済む方法についても確認します。
苗字を変えずに済む方法は、次のとおりです。
- 事実婚をする
- 選択的夫婦別姓制度を利用する
ただ、この苗字を変えずに済む方法には、それぞれデメリットがあります。
事実婚をする
苗字を変えずに済む方法の1つ目は、「事実婚をする」です。
事実婚とは、次のような状態です。
「実質的には夫婦関係といえる男女が、法的に入籍していない状態のこと」を事実婚と呼びます。つまり、婚姻届を提出していない夫婦は事実婚上での夫婦ということになります。
事実婚とは?知っておいて欲しいメリットとデメリット | 40代・50代・60代・中高年・シニアの婚活・結婚相談なら茜会(2021年2月22日参照)
事実婚であれば、戸籍を新たにつくることもないので、苗字を変更する必要はありません。
事実婚をするデメリットは、法律婚の恩恵を受けられないこともあるということです。
- 税金等の控除を受けられる
- 夫が妻の子どもの親になる
- 代理手続きができる
- 遺産の相続権を得られる など
法律婚のメリットについても知ったうえで、事実婚にするか考えましょう。
選択的夫婦別姓制度を利用する
苗字を変えずに済む方法の2つ目は、「選択的夫婦別姓制度を利用する」です。
選択的夫婦別姓とは、次のような制度です。
選択的夫婦別氏制度とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお,この制度は,一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがありますが,民法等の法律では,「姓」や「名字」のことを「氏うじ」と呼んでいることから,法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいます。
法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(2021年2月22日参照)
この制度を利用すれば、結婚しても夫婦別姓を選択することができます。
しかし残念ながら、選択的夫婦別姓制度はまだ導入されていません。
それどころか、選択的夫婦別姓制度に関する検討は、先延ばしにされている状況です。
いつ選択的夫婦別姓制度が導入されるか分からないのは、選択的夫婦別姓制度の利用を考えるデメリットです。
自民党は15日、政府の第5次男女共同参画基本計画案の改定案を了承した。焦点となった選択的夫婦別姓(別氏)に関する表現は、原案の「対応を進める」から「更なる検討を進める」に変更。
夫婦別姓の表現、自民が変更 反対派の異論受け大幅後退:朝日新聞デジタル(2021年2月22日参照)
夫婦別姓を望む人は多く、夫婦別姓が認められないために結婚を諦める人もいます。

私はもう改姓してしまいましたが、これから結婚を考える人たちのためにも、早く選択的夫婦別姓制度を導入して欲しいと思っています。
現状では96%の女性が夫の姓を選ぶ。日本経済新聞社が19年、働く女性2000人に聞いた調査では、選択的夫婦別姓の導入に74.1%が賛成だ。1986年の男女雇用機会均等法施行から30年以上たち、働く女性が増えた。結婚後に姓が変わることで業績が分断されるなどの不利益はかねて指摘されてきた。一人っ子の実家の姓を残したいとの希望も強い。
選択的夫婦別姓のハードルは? 議論進まず四半世紀|NIKKEI STYLE(2021年2月22日参照)
まとめ
今回は、結婚しても苗字を変えたくない人が確認すべきことについてお話ししました。
- 苗字を変えるデメリット
- 苗字を変えずに済む方法と、その方法を選ぶデメリット
実際に私が苗字を変えて感じたデメリットは、次のとおりです。
- 苗字を変える手間・費用がかかる
- ビジネスでの不具合がある
- 新姓側の家に対する意識が強くなる
苗字を変えずに済む方法は、次のとおりです。
- 事実婚をする。(デメリット: 法律婚の恩恵を受けられないこともある。)
- 選択的夫婦別姓制度を利用する。(デメリット: いつ選択的夫婦別姓制度が導入されるか分からない。)
日本の婚姻制度は、戦後(1947年)の民法改正から大きく変わっていません。
この古いルールが現代の生活に合っているかは、疑問に思います。
しかし一旦は、古いルールを知ったうえで、今のあなた自身の生活に、古いルールをなんとか適用する方法について検討する必要があるでしょう。
そして、考えたことについて国民みんなで意思表示することで、現代の生活に合った新しいルールをつくりあげていくことができたら良いですね。
皆さまも、ルールをうまく生かしてパートナーと楽しい生活ができますように!